ていて下さることは分っていましたけれど、でも、それはちがった種類の愛だと思っておりましたの。それが、ああいうことになって……。私は今泣いています。泣きながら告白します。私には、愛する人がございます。そのためにも、私はあなたの愛を御受けすることが出来ませんの。御許し下さい。でも、あなたは屹度、この悲しみに堪えて下さいますわね。どんな悲しみにも堪えて下さいますわね。私はあなたの男としての力を信じます。私を愛して下さいますならば、この私の確信を裏切らないで下さいませ。私はたとえ泣きましても、あなたは泣かないで下さいますわね。(中略。ここに彼女は、人生はくいちがった歯車のようなものだとか、悲しみをふみくだいてゆくのが生きる途だとか、自分は過去にそうした途を辿ったが、今はただ一条の光を見つめて生きているとか、そんなことを書いていた。)あなたは今、いろいろな意味で、試練の時期にさしかかっていらっしゃると思いますの。そして力強い輝かしい未来のため、只今の試練に御堪えにならなければなりません。そうしたあなたを私は信じておりますの。私はあなたの愛を御受けすることが出来ないながらも、あなたのよきお友だちに
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