かもぶちまけて……。第一父母なんてものが可笑しかった。
懐手の先で探ってみると、すべすべした紙幣がたしかにはいっていた。……大事に使わなくっちゃ。
あなたが好きになったって……馬鹿にしてやがる。
然し……どうしていいか分らなかった。余りに晴れ晴れとした暢《のびや》かさだった。どこかへ……まん円いものが転っていって見えなくなっていた。涙が出そうなほどすがすがしい胸心地だった。
どうしたら……畜生……。しきりに石ころを蹴飛してやった。
底本:「豊島与志雄著作集 第二巻(小説2[#「2」はローマ数字、1−13−22])」未来社
1965(昭和40)年12月15日第1刷発行
初出:「中央公論」
1925(大正14)年4月
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2007年11月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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