たに違いない。
 この鸚鵡、と犬と蟇の話は、実際のことである。ただ、種類が異るので、変に比喩めいた感じになる。然し、同一類の動物に対しても、人によって、この三種の態度は自ら生じてくる。或は、その時折の気分によって、どの態度かに偏してくる。が私は、好みからすれば、また性質からしても、第三の態度を執りたい。暴君として或は優者として動物に臨むことは、嫌だし不愉快だ。同類として動物に臨む時、私は本当に動物と同感するの喜びを感ずる。
 こういう意味での同感、それを私は貴いものと思っている。なお更に、自分の仕事の上に於て、最も大事なものと思っている。よい芸術は、こういう同感からしか生れない。こういう同感がないところでは、芸術は歪んでくる。



底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社
   1967(昭和42)年11月10日第1刷発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2006年4月22日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティ
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