。」
厳粛だとさえ云えるほどの情景だった。良一は心打たれてただじっと坐っていた。川村さんと竹山とは、いつまでも黙っていた。やがて、竹山はふいに、眼をくるくるさした。
「母が待ってるから、行ってやりましょう。」
そしてもう彼はけろりとして、無雑作に拳銃を弾丸《たま》らしい紙箱と共に袱紗にくるんで、ポケットにつっこんだ。
「お母さんによろしく。」
「ええ。」
竹山は朗かな微笑を浮べて、出て行った。
川村さんはその後ろ姿を見送ったきり、黙って考えこんでしまった。いつもの呑気な調子とはすっかり違っていた。良一は何とも言葉が出なくて、火鉢の火を見つめていた。暫くたって、川村さんは一つ大きく息をしてから、杯をとりあげ、不思議そうに良一を見まもった。
「君は、竹山と前から懇意なのかい。」
川村さんの眼にはもう、穏かな色がただよっていた。それを見て、良一はかすかな微笑を浮べた。
「今日知り合になったばかりです。」
「今日……。」
「ええ。」
そこで良一は、川村さんの家の前で竹山に出逢った時からことを、あらまし話した。
「そうか、そして君は、あの男のことをどう思う。」
「どうって……。」
「
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