んでる小山、山裾の竹林、谷間の田畑、小鳥の声、あらゆるものによって、全く日本に在るの感がするであろう。また杭州の町中、掘割の両側に楊柳の立並んでる静かな街路は、新潟の町の裏通りに彷彿たるものがある。また、上野の不忍池を理想的に拡大し美化すれば、中支随一の名勝たる杭州西湖ともなるだろう。が然し、揚子江の水は赤く濁り、沿岸の支那海も赤く濁っている。歎声はそこから起るのである。



底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社
   1967(昭和42)年11月10日第1刷発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2006年4月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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