その三十五日忌の品物が、村尾庄司の家に贈り届けられた時、村尾は包みを開こうともせず、庭にとびだして、冬の冷い朝日のなかで、大きく深呼吸をした。骨だった彼の眉間には、深い決心の色が現われていたが、それがどんな種類のものだか、今は知る由もない。それに第一、人の決心などというものは、実践に移されない限り無意味なものだから、ここで吟味することをやめよう。
底本:「豊島与志雄著作集 第三巻(小説3[#「3」はローマ数字、1−13−23])」未来社
1966(昭和41)年8月10日第1刷発行
初出:「文学界」
1934(昭和9)年1月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2008年3月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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