んでいるのを捉えた。その度毎に彼女は庄吉を打ったりまたは足蹴《あしげ》にしたりした。
「もうこれからしないから堪忍しておくれよ。」と庄吉は泣き乍ら云った。
「うるさいや。何度同じことを云うんだい。さっさと家を出てゆくがいい。お前のような者はうちには置けないんだよ。出ておいで。いい泥棒になるだろうよ。」
それでも小母さんは彼を追い出すでもなかった。
「屹度庄吉の後《うし》ろには誰かついてるよ。」と彼女は或る時金さんにいった。「私にはちゃんと分ってるんだよ。ほんとに油断も隙《すき》もありゃあしない。……私達の話をみんなきいて行ってしまうんだよ。お銭《あし》につられたんだね。」
おせい[#「せい」に傍点]はもうその頃は、金さんよりも棟梁のお主婦《かみ》さんに目星をつけていた。
おせい[#「せい」に傍点]と庄吉との暗黙の争いは次第に激しくなっていった。庄吉は見出さるる度毎に甚《ひど》く苛められ乍ら、それが却って彼の立聞きの好奇心を煽《あお》った。彼の身体にはよく紫色に腫上った傷跡がついた。
家の中に居る時も、庄吉はよく小母さんの方をちらりと横目で見た。小母さんも彼の方をじろりと見返した
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