。
「夢を見たのでしょう。」と幾代は云った。
三人共それきり一言も云わなかった。また各自に床についた。
依子の熱は翌日になってもさめなかった。朝が七度六分、午《ひる》が七度八分だった。そして少しも食慾がなかった。身体全体に力がなくて、顔色も失せていた。
彼は小児科の医者に来て貰った。三時頃、医者はやって来て診察をした。依子はどう取扱われても、少しも逆らわなかった。逆らう力がなさそうだった。
医者は診察を終えて小首を傾げながら、また長い間脉膊をみていた。病名が分らないらしかった。
「別に異状もないようですね。脉膊《プルス》がただ少し……。」
彼は思い切って簡単に事情をうち明けた。依子を早く治すにはそうしなければならないような気がした。
「なるほど、」と医者は云った、「それで分りました。まあ神経衰弱とでもいうんでしょうね。別に悪い所はありませんから、そのうちには治るでしょう。」
「子供にも神経衰弱というのがありますんですか。」と彼は尋ねた。
「はははは、神経がある以上はあってもいい訳ですね。……大したことではありませんけれども、もし熱が八度を越したりしたら、また仰言って下さい、診
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