った。その合間々々には熱狂的な愛撫を示した。依子はこの冷熱の間に苦しめられて、彼や幾代の方へ逃げていった。兼子はそれをまた抱き取ってきた。胸にひしと抱きしめながら云った。
「依子ちゃんは誰が一番お好き? え、誰が一番お好きですか。」
 依子は黙っていた。
「云ってごらんなさい。え、誰が一番お好き?」
「一番お好きよ、一番お好きよ」と依子は口早に云って、兼子の懐にしがみついた。
「そう、お母ちゃんも依子ちゃんが一番お好き!」
 そう云って彼女は依子を更に強く抱きしめた。依子は急に身を※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]いた。真赤な顔をして反りくり返った。兼子はなかなか放さなかった。依子はしまいに泣き出した。
「余りしつっこくするものじゃないよ」と彼は云って、依子を抱き取ろうとした。
「いやよ、いやよ、いやよ!」と依子は叫んだ。「お父ちゃま嫌い、嫌いよ!」
 依子は泣きながら逃げていった。兼子は冷かな眼でその後を見送った。
 こんな風ではだんだんいけなくなるばかりだ、と彼は思った。一層のこと幾代へ依子を凡て任せたら……とも思った。然し幾代は、既に夜の間だけでも可なり苦しめられてい
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