、さかんにもやしました。あまりあつくなると、らんまの小窓を少しあけました。外には雪がふりしきっていました。
「でも、そんなへんな人でなく、おもしろいものが、ほんとにやって来ることもありますよ」
「どんなものが……」と私はたずねました。
「いろんなものです。鳥や獣《けだもの》や、それから……。あんな小窓をあけておくと、火にあたりにくるんでしょうね、狐《きつね》や狸《たぬき》がとびこんでくることもありますよ」
 私はらんまの小窓を見あげました。正夫は話しつづけました。
「それよりも、面白いのは鳥ですよ。いつだったか、部屋いっぱい鳥だらけになったことがあります。雀《すずめ》がとびこんできました。頬白《ほおじろ》がとびこんできました。つぐみがとびこんできました。山鳩《やまばと》がとびこんできました。烏《からす》がとびこんできました。そのほかいろいろな鳥が、次から次にとびこんできて、部屋いっぱいにならびました。ふしぎなことには、どれもみなだまってるんです。目ばかりぱちぱちうごかして、なき声は少しもたてないんです。そしておかしいのは、鷺《さぎ》ですよ みんなと[#「鷺《さぎ》ですよ みんなと」はマ
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