幕間も同じことでした。そのうちに、芝居をそっちのけにして彼を探し廻ってる自分自身が、妙に白けきった馬鹿馬鹿しさで頭に映ってきましたので、私はふいに一人で笑い出して、後の幕はそのままに劇場から飛び出して、家に帰ってゆきました。
妻は私の話を聞いて、信じかねるようなまた心配そうな眼付をしました。
母上
丁度その頃です、平田伍三郎の伯父から手紙が来ましたのは。――伍三郎は此頃どんな風にしてるか知らしてほしい、夏の初めから毎月七八十円の金を送ってるのに、なお足りないと見えて、よそに嫁いってる姉から五十円六十円と送って貰ってることが分った、余り金を使うようで心配だから、よろしく御監督を頼む……というような手紙でした。
劇場で逢ったこととその手紙とで、最近の平田伍三郎の大体の様子は分りました。そして私は可なり当惑しました。
手紙には監督をたのむなどとありますが、よそに下宿してる男を監督することなんか、東京ではとても出来るものではありません。第一その男がどんなことをしているかさえ、なかなかはっきりは分らないんです。田舎では誰が何をしたかということは、すぐに皆の人に知れてしまいますが、東京で
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