をとろう。」
みよ子は笑いながら屏風の中にはいって来ました。天井につきぬけてる十二角の塔の中は、全く別天地でした。私とみよ子とは、その中で取組み合って笑いこけました。
「まあ、誰ですか。」
声と一緒に足音がしました。
「屏風の中で何をしているんです。」
私たちは息をつめました。ふと、身体中真赤になりました。どうにも仕様がなくて、私は逃げ出しました。みよ子も後から逃げてきましたが、私は知らん顔をして、籔の中にかけこみました。
その時私たちを叱ったのは、誰だったか覚えがありません。けれどそれは確かに祖母ではありませんでした。祖母なら叱りはしなかったろうと思います。
其後みよ子はやはり時々遊びに来ましたが、私たちの間には一脈の距てが出来ていました。そして彼女は小学校にあがるようになると、だんだん来なくなって、私はまた一人ぽっちになりました。
みよ子から遠のくにつれて、私の心は益々祖母に接近していきました。私をじっと眺めてる祖母の頭の美しい髪の毛が、かすかに神経質におののくのを、私ははっきり覚えています。
冬になって雪が積ると、私は竹馬を拵えてもらって、高い塀の上の綺麗な雪をとり
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