のです。どんなお化が出るのか分かりませんが、その裏庭にはいって、無事に戻って来た者は一人もありませんでした。
強い武士たちが、お化退治にやって来ました。先ず家の中にはいって、夜になるのを待ちうけて、裏庭へ出て行きますが、その菌のはえたところへ行くと、みんなお化に食べられてしまいました。どういうお化が出るのか見届けた者さえありませんでした。
ここに、一人の賢い若い武士がいました。昼間のうちに、その裏庭へ行って、よく調べてみましたが、大きな菌がいっぱいはえてるだけで、何の怪しい点も見つかりませんでした。
「この菌があやしい……。」
若い武士はそう考えました。そして夜になると、塩を袋一杯用意して、裏庭へ出ていきました。
ぼーっとした明るみがさしていました。彼はつかつかと庭の中にふみこみました。すると、一面にはえている菌が大きくなり、傘よりももっと大きくなって、彼を包みこもうとしました。その時彼は袋の中の塩をつかんでは、菌にふりかけました。塩がかかると、大きな菌はしおれしなびて、力がなくなりました。彼は刀をぬいて、それを切りはらいました。
翌朝になると、菌はすっかりなくなっていました
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