僕は一人心配してたんだよ。黙ってるなら午《ひる》までいよう。僕はこの縁側で日向ぼっこしながら、雑誌でも読むとしよう。」
「ああそうしてくれ給えな。」
 彼はそれで凡てが、まとまりもないただ凡て[#「凡て」に傍点]が、よくなるような気がした。そして親しい瀬川の顔を見ると、何となく力強くなるような気がした。



底本:「豊島与志雄著作集 第一巻(小説1[#「1」はローマ数字、1−13−21])」未来社
   1967(昭和42)年6月20日第1刷発行
初出:「太陽」
   1920(大正9)年1月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:松永正敏
2008年10月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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