たわったまま、身うごきも出来ませんでした。とぎれとぎれに、かすかな息をして、じっとエキモスの方をみているだけでした。しらべてみますと、肩のあたりから血が流れています。鉄砲でうたれたらしいんです。もうてあてのしようもありません。死にかけているんです。
 エキモスはかなしさに涙ぐんで、そのそばにすわって、膝《ひざ》のうえに頭をのせてやりました。鹿はうれしそうに眼をつぶりました。エキモスは、その獅子《しし》のようにながいたてがみ[#「たてがみ」に傍点]をなでてやりました。それから白い葦笛《あしぶえ》をとりだして、さいごのわかれにふいてきかせました。
 エキモスが心をこめてふく葦笛は、とてもいいあらわせない美しいひびきをたてました。谷川の水も、しばらくながれやんで、ききいりました。
 エキモスが笛をふきやめると、もう、金色の鹿は死んでいました。
 エキモスはそのまま、ながいあいだすわっていました。それから、金色の毛皮をすこし、かたみに切りとりました。そして死体を、そこの崖の下にうずめてやりました。
 エキモスが帰りかけると、また、多くの鹿《しか》がおともをして、角《つの》の大きな鹿がエキモスを
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