かってきてもらいました。みんなが、あしたからは、自分たちだけで、都じゅうの仕事をするような、元気です。そしてはらいっぱいに、のんだりたべたりしました。
 しまいには、「神さまのお使い」のエキモスを胴上げして、よろこびさわぎました。
 夜がふけました。エキモスがねむそうな眼になりますと、たべもの屋の主人は、そまつな家ですが、そのなかのいちばんよい部屋につれていって、ねかしてやりました。

      四

 エキモスはたのしく眼をさましました。ゆうべのことをかんがえると、うれしくてたまりませんでした。あの人たちが、あんなによろこんで元気よく食事をしたことは、いままでにありませんでした。
 エキモスはたくさんの金貨を宿の主人にあずけて、ゆうべの人たちがきたら食事をさせてくれるようにたのんで、都のなかを見物にでかけました。
 いろいろな店がありました。いろいろな人がとおっていました。公園や博物館などもありました。
 夕方はやく、エキモスは宿にかえって、ゆうべの人たちをまちうけました。が、その人たちは、夜になって、二三人ずつ、つれだってやってきまして、お礼をいっただけで、もどっていきました。

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