を組んで、三人の奇術師のようすをながめました。
「どうも、不思議なやつらだ。とにかく、明日の朝、首きりの役を言いつけるぞ」
 キシさんは平然《へいぜん》と答えました。
「ひきうけましょう。奇術でやってみましょう。五十人の首ぐらい、またたくまに打ち落としてみせますし、お望みなら、その首をまたつなぎあわしてもみましょう」

      チロの国

 その夜、奇術師に化《ば》けてる三人は、城の中のせまい一室に、とめおかれました。
 三人は、ひそひそ相談しあいました。いろいろ危急《ききゅう》なことがかさなっています。そしてまず第一に、玄王《げんおう》のことをさぐりださねばなりません。
 夜遅く、城の中の匪賊《ひぞく》達が寝しずまったころ、太郎とチヨ子は起きあがって部屋から出ていきました。チヨ子は城の中のことをよく知っていますので先に立って進みました。
 奥の方の部屋に行って、大きな声でチヨ子はいいました。
「もしもし、金目銀目《きんめぎんめ》の猫が、どこかへ行ってしまいました。こちらに来ませんでしたか」
「チロ、チロ、チロや……」
と、太郎は呼びました。
 そして二人で、部屋の中を探しました。
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