字下げ]
魔法のはしごは、
のびるよ、のびるよ、
天までとどくよ。
天にのぼれば、
五色の花が、
咲いた、咲いたよ、
五色の花が。
[#ここで字下げ終わり]

 歌ってしまうと、ポケットから何かとりだして、ぱっと放りました。それは五色のテープで、五色の蜘蛛《くも》の糸のようになって、あたり一面に広がりました。見物人《けんぶつにん》たちは、わっと喝采《かっさい》しました。なんども喝采しました。
 今度は太郎の番です。太郎は玉乗りの大きな毬《まり》を持ちだしました。それから籠《かご》の中から何か取り出しました。見ると、金の目銀の目の白猫のチロです。チロは首に大きな鈴をつけていました。太郎は毬の上にチロを乗せました。そして、ひょいと手を叩くと、チロは毬の上に乗ったまま、その毬をころころ動かし始めました。
 チョチョチョン、チョチョチョン、チョチョチョン、チョン……太郎の手が鳴ります。ころころ、ころころ……と毬が転がります。チロはちゃんとその上に乗っていて、チリリン、チリリン、チリリン、チン……と首の鈴が鳴ります。太郎が手を叩くのをやめると、チロは四本の足で毬を止めてしまいます。
 実に、見事
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