金銀廟まで行けるような気がしました。白い塔……白い猫……それまでも地図に書いてあるんです。
太郎は何度もお礼を言いました。そして、おじいさんからもらった薬――肌につけて大事にしてる薬を、少し老人にわけてやりました。そして帰って行きました。
一郎がおくってきてくれました。ふたりはまた、腕を組みあわせて歩いていきました。
「きみのおじさんは変な人だね」
「なぜだい」
「変なものばかり持ってるじゃないか」
「そりゃあ、手品《てじな》使いだからね」
そして一郎は立ち止まりました。
「あ、明日の手品はどうしよう」
「そうだ、これからキシさんに相談してみよう」
ふたりは、あくる日のことを約束して別れました。
奇術《きじゅつ》くらべ
太郎はすぐに、キシさんの部屋へ行ってみました。不思議な地図のこと、不思議な眼鏡《めがね》のこと、仲よしになった一郎のこと、明日の手品《てじな》のこと、いろいろうれしいやら気にかかるやらで、いきなり、キシさんがいる部屋に飛び込んでいきましたが、入口で、びっくりして立ち止まりました。
部屋の中はごったがえしていました。一郎からあずかった手品の道具
前へ
次へ
全74ページ中42ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング