金の目銀の目
豊島与志雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)お習字《しゅうじ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)長|椅子《いす》の上

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)きゃはん[#「きゃはん」に傍点]
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      まっ白いネコ

 九州の北海岸の、ある淋しい村に、古い小さな神社がありました。その神社のそばのあばら屋に、おじいさんとおばあさんとが住んでいました。おじいさんは、神社の神主で、ふだんは、近くの人達のためにお祈りをしてやったり、子供達にお習字《しゅうじ》のけいこをしてやったりしていました。えらい学者だとの噂《うわさ》でした。
 この老人夫婦といっしょに、十二―三歳の男の子がいました。老人達の孫にあたる子供で、早くからふた親に死なれ、ほかに身寄りもないので、ひきとられて育てられてるのでした。上野太郎《うえのたろう》という名前で、頭が大きく、生まれつき大変りこうで、その上、おじいさんからいろんなことを教わって、深い、広い知恵を持っていました。
 おじいさんとおばあさんと孫と三人は、貧乏ではありま
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