強い賢い王様の話
豊島与志雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)印度《いんど》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一番|面白《おもしろ》い。
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むかし印度《いんど》のある国に、一人の王子がありました。国王からは大事《だいじ》に育《そだ》てられ、国民からは慕《した》われて、ゆくゆくは立派《りっぱ》な王様になられるに違《ちが》いないと、皆《みな》から望《のぞ》みをかけられていました。
ところが、この王子に一つの癖《くせ》がありました。それは、むやみに高い所へあがるということでした。庭《にわ》で遊《あそ》んでいると、大きな庭石《にわいし》の上に登《のぼ》って喜《よろこ》んでいますし、室《へや》の中にいると、机《つくえ》や卓子《テイブル》の上に座《すわ》りこんでいます。そういう癖《くせ》がひどくなると、しまいには、後庭《こうてい》の大きな木によじ登《のぼ》ったり、城壁《じょうへき》の上に登《のぼ》ったりするようになりました。国王や家来《けらい》たちは心配《しんぱい》しまして、もし高いところから落《お》ちて怪我《けが》でもされるとたいへ
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