いて、立ち上がって、トニイの手をにぎりしめました。
マリイもトニイの手をにぎりしめました。
トニイはみんなと握手《あくしゅ》していいました。
「すぐに汽車で逃げてしまいなさいよ。あとは僕が引き受けます。……どれ、今日からまた、広場へに[#「広場へに」はママ]店でもだそう。さようなら」
みんなからひきとめられるのをふりはらって、トニイは出ていきました。
外に出ると、トニイはちょっとさびしくなりました。でも、口笛をふいて元気に立ち去りました。一人者の街の少年です。広場にやたい店を出しに出かけるのです。
底本:「豊島与志雄童話集」海鳥社
1990(平成2)年11月27日第1刷発行
入力:kompass
校正:門田裕志、小林繁雄
2006年4月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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