活人形
豊島与志雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)ターコール僧正《そうじょう》という
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|文《もん》も
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)しま[#「しま」に傍点]
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一
むかし、インドに、ターコール僧正《そうじょう》というえらいお坊《ぼう》さまがいました。むずかしい病気《びょうき》をなおしたり鬼《おに》をおいはらったり、ときには、死人《しにん》をよみがえらしたりするほど、ふしぎな力をそなえていられるという評《ひょう》ばんでした。そしてたいへん慈悲深《じひぶか》くて、なんでも貧乏《びんぼう》な人たちにめぐんでやり、自分は、弟子《でし》の若《わか》いお坊《ぼう》さんと二人きりで、大きな、ぼだい樹《じゅ》のそばの小さな家に、つつましく暮《くら》していました。
そのターコール僧正《そうじょう》が、ある日、庭《にわ》のぼだい樹《じゅ》のこかげのベンチに腰《こし》をおろして、休んでいますと、みすぼらしいなりをした、年とった男がたずねてきました。悲《かな》しそうなお
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