「でも、おばさま、噂をひろめるのが、お上手でいらっしゃるわね。」
「まあ、なにを言うんですか、ひとにさんざん頼んでおいてさ。」
 恒子は睥むまねをした。
「わたくし、初めて分りましたわ。姙娠ということが、どんなにひとに嫌われるか……。」
「ことに、男のかたにはそうですよ。」
「考えてみると、やっぱり、いやなことですわね。お腹がぶくぶくふくらんできて、お尻がでっぱってきて……わたくし、結婚中に姙娠しないでよかったと、つくづく思いますわ。」
「今だから、あんた、そんなことが言えるんです。わたしなんか、三人も子供を産みしたよ[#「産みしたよ」はママ]。」
「それは、昔のことでございましょう。」
「当り前じゃありませんか。」
「昔だったら、構いませんわ。わたくしでも、昔のことなら平気ですわ。いま、この身体で……と思うと、ぞっとしますの。」
「あ、ちょっと。」
 恒子は美枝子の腕にさわった。目配せされた方に眼をやると、星山が、あの大きな図体で、だぶだぶの服をつけて、あちらへ歩いてゆくところだった。
「わたしたちの方を見て、引き返していらしたようですよ。」
 美枝子は肩をすくめて笑った。
「だ
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