病根はどこにあるのか。没落種族というような宿命的なところにあるのではない。彼等が住んでる銀座裏にネオンサインが跳梁してるように、彼等の生活に感性だけが跳梁して、そのかげに生活意欲が萎微し窒息してるところにある。
吾々はあらゆる意味に於て、強烈なる意欲を、そして溌剌たる生活を、要求したい。そのために、オブローモフを、サラヴァンを、「魔子」の人々を、排撃しなければならない。彼等から来る陰欝なる影と腐爛の空気とは、あらゆる反動や保守よりもなお一層文化の進展を邪魔する。彼等は日の光を遮る瓦斯である。そこには生長がなくて、ただ徒らな消費だけがある。
底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社
1967(昭和42)年11月10日第1刷発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2006年4月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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