ストフたちをお助けなさること、それが望みです。彼らを捜し出し、彼らをお助けなさい。先輩の人たちがあなたに尽くしてくれたよりも、もっとよく、後輩の人たちに尽くしておやりなさい。――そして最後に、あなたの強者であることが私にもよくわかるように、あくまでも強者であられることを望みます。そのことが私自身にどんなに力を与えるか、あなたは夢にも御存じありますまい。
私はほとんど毎日のように、子供たちといっしょにボルゲーゼの別墅《べっしょ》へまいります。一昨日は、馬車でモーレ橋へまいりまして、それから徒歩でマリオ丘を一周しました。あなたは私の足を悪口おっしゃいましたね。私の足はあなたに怒っております。――「ドリアの別墅を十歩も歩くとすぐに疲れてしまうなどと、あの方はまあ何をおっしゃるのだろう! あの方は私を御存じないのだ。私が骨折るのをあまり好かないのは、怠《なま》け者だからで、できないからではない……。」――ねえあなたは、私が田舎娘《いなかむすめ》であることを忘れていらっしゃいますのね。
従姉のコレットへ会いに行ってくださいませんか。あなたはまだ彼女を恨んでいらっしゃるのですか? 彼女は本来は
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