ていった。彼の大胆さに対抗して、さらにいっそう危険な冒険をした。
「何をしでかすことやらわからない。狡猾《こうかつ》な奴らめ!……」
クリストフは喝采《かっさい》の声をあげまた大笑いをした。
「畜生! あとについてゆくのがむずかしくなってきたぞ! 俺のほうが負かされるかしら……。おい冗談じゃないぞ! 今日俺は疲れてるんだ……。なに構うものか。君らが最後の勝利を占めるとはきまってやしない……。」
しかしその管弦楽団はいかにも豊麗ないかにも新しい幻想曲《ファンタジア》を演奏しだしたので、ぼんやり口を開いて聞いてるよりほかにもうしかたがなかった。聞いてると息がつまるほどだった……。クリストフは自分を憐《あわ》れんだ。
「馬鹿め!」と彼は自分に言った、「貴様は空《から》っぽになったのか。黙っちまえ! できるだけの音を出してしまった楽器め。もうこの身体にはたくさんだ。俺にはもっと別な身体が必要だ。」
しかし身体は彼に意趣返しをした。ひどい咳《せき》の発作が起こって彼の聴くのを妨げた。
「黙らないか!」
彼は敵をでも取り拉《ひし》ごうとするかのように、自分の喉首をとらえ、拳固《げんこ》で自
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