だと考えた。彼は寝床から、戸棚《とだな》の大鏡の中で、彼女がつぎの室で何もかもひっくり返してるのを見てとった。彼はかっと怒って――(たしかに彼のうちにも昔の気性は失《う》せていなかった)――蒲団《ふとん》の中から飛び出し、彼女の手から紙包みを引ったくり、彼女を追い出してしまった。その憤怒のために、彼はかなりの熱の発作に襲われ、女中は立ち去ってしまった。彼女は癇癪《かんしゃく》を起こして、彼女のいわゆる「この気違い爺《じじい》」に一言の断わりもせずに、二度と姿を見せなかった。それで彼は病気になりながらも、だれも世話してくれる者がいなかった。彼は毎朝起き上がっては、戸口に置かれてる牛乳|瓶《びん》を取りにゆき、二人の恋人たちの約束の手紙を、門番が扉《とびら》の下に差し入れてやしないかを見にいった。手紙はなかなか来なかった。彼らは幸福のあまり彼のことを忘れていた。でも彼らを恨みはしなかった。自分が彼らの身になったら同じようにするだろうと考えた。彼は彼らの夢中な喜びのことを考え、それを彼らに与えてやったのは自分だと考えてみた。
彼は多少快方に向かって床から起き始めた。そのときついにオーロラの
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