ともに、落ちてくる夜の間に包まれてしまうだろう……。それもよし、それもよし! おう闇夜《やみよ》よ、太陽を孵化《ふか》し出すものよ、われは汝を恐れない! 一つの星が消え失《う》せても、他の無数の星が輝き出す。沸騰してる牛乳の鉢《はち》のように、空間の深淵《しんえん》は光に満ちあふれている。汝はわれを消してしまうことができないだろう。死の息吹《いぶ》きはわが生をふたたび燃えたたせるであろう……。
 ドイツから帰りに、クリストフは昔アンナと知り合いになった町に寄ってみた。彼は彼女と別れて以来、彼女について少しも知るところがなかった。彼女の消息を尋ねることもなしかねた。長い間、その名前だけでも彼をぞっとさした……。――今では、彼は落ち着いていたし、もう何にも恐れなかった。しかしその夕方、ライン河に臨んだ旅館の室で、翌日の祭典を告げる聞き馴《な》れた鐘の音を聞くと、過去の面影がよみがえってきた。河から彼のほうへ遠い危険の香が立ちのぼってきた。彼にはそれがよくわからなかった。夜通しその追憶にふけった。彼は恐るべき主宰者[#「主宰者」に傍点]から解放されてるのを感じていた。そしてそれは彼にとって悲
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