。もし僕がその神を理解しないとしても、それは僕が悪いので、神が悪いのではない。神を理解しようとつとめたまえ。しかし君たちのうちだれか理解しようと心がけてる者があるか。君たちはただその日その日を送り、すぐつぎの限界より先には眼をつけず、その限界を道の終極だと想像している。自分たちを運び去る波だけを見ていて、海を見ていない。今日の波を湧《わ》きたたしたのは、われわれの昨日の波だ。また今日の波は、明日の波の畝《うね》を掘るだろう。そして明日の波は、われわれの波が忘れられたと同じように、今日の波を忘れさしてしまうだろう。僕は現時の国家主義に賛成もしなければ恐れもしない。それは時とともに流れてゆく。もう過ぎ去りかけてる、過ぎ去ってしまってる。それは階段の一つの段である。階段の頂まで登りたまえ。今の国家主義などは、やがて来たらんとする軍隊の先駆者だ。その軍隊の笛や太鼓の鳴るのがもう聞こえてるじゃないか……。」
(クリストフは太鼓の音をまねて机をたたいた。そこにいた猫が眼を覚まして飛び上がった。)
「……現在では、各民衆はそれぞれ、自分のあらゆる力を寄せ集めてその貸借表を作り上げようとの、やむにやま
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