だけの労をさえも取らないで、かえってそれを利用する。すべてが同一の目的へ集中してくる。行動の時期には常にそうであった。フランスの偉大をきたさしめた、アンリ四世の軍隊中にもルイ十四世の閣員中にも、虚栄と利害心と下等な快楽主義との人物と同じくらいに、理性と信念との人物がいたのである。ジャンセニストの者と不信仰者とは、清教主義者と伊達《だて》者とは、おのれの本能に仕えながらも同一の運命に仕えたのだった。きたるべき戦争においては、世界主義者や平和主義者なども、革命国約議会の先人たちと同じように、民衆の幸福と平和の勝利とのためだと信じながら、銃砲の火蓋《ひぶた》を切るに違いない……。
 クリストフは多少皮肉に微笑《ほほえ》みながら、ジャニコロの覧台から、雑駁《ざっぱく》でしかも調子のとれたこの都会をながめた。それはこの都市がかつて統御した全世界の象徴だった。石灰となってる廃墟《はいきょ》、バロック風の建物前面、近代式の大建築、からみ合った糸杉《いとすぎ》と薔薇《ばら》――才知の光の下に力強く筋目立って統一されてる、あらゆる世紀、あらゆる様式。それと同様に人間の精神も、自分のうちにある秩序と光明と
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