に圧せられていた。そして観念論者らは片眼の巨人プルードンの大きな影の下に隠れて、人間の高貴さのもっともみごとな資格を戦争のうちに賛美していた……。
 西欧諸民族の肉体的および精神的復活は、実にかかるところへ到達すべきものであったのか! 熱烈な行動と信念との奔流は諸民族を駆って、かかる殺戮《さつりく》へ突進させるべきものであったのか! その盲目的な疾駆に、選択され見通された一つの目的を定めることができるのは、ただナポレオンのごとき天才のみであったろう。しかしこの行動の天才はヨーロッパのどこにもいなかった。あたかも世界はおのれを統べるためにもっとも凡庸な者どもを選んだかの観があった。人類の精神の力は他の方面にあった。――かくなってはもはや、人を巻き込む急坂に従うよりほかはなかった。統治者も被統治者もみなそうしていた。ヨーロッパは武装警戒をしてるかの観を呈していた。
 クリストフは、オリヴィエの心配げな顔をそばに見ながら同じように警戒したときのことを、思い起こしたのだった。しかしその当時戦争の脅威は、通りかかる夕立雲くらいなものにすぎなかった。しかるに今やその雲は、ヨーロッパ全体に影を落とし
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