未来を救い上げた。われわれは約束の土地[#「約束の土地」に傍点]の入り口まで方舟[#「方舟」に傍点]を導いてきた。方舟《はこぶね》はその土地へ、彼らとともにそしてわれわれの力によってはいってゆくだろう。」
「でも彼らは、神聖なる火や、わが民族の神々や、今は大人《おとな》となってるがその当時子供だった彼らを、背に負いながら沙漠《さばく》を横切ってきたわれわれのことを、思い出してくれるでしょうか? われわれは艱苦《かんく》と忘恩とを受けてきたではありませんか。」
「それを君は遺憾に思ってるのか。」
「いいえ。われわれの時代のように、自分の産み出した時代の犠牲となる力強い一時代の悲壮な偉大さは、それを感ずる者をして恍惚《こうこつ》たらしむるほどです。現今の人々は、忍従の崇高な喜びをもはや味わうことはできないでしょう。」
「われわれはもっとも幸福だったのだ。われわれはネボの山によじ登ったのだ。山の麓《ふもと》にはわれわれのはいり込まない地方が広がっている。しかしわれわれはそこにはいり込む人々よりもいっそうよくその景色を享楽している。平野の中に降りてゆくと、その平野の広大さと遠い地平線とは見えな
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