やった。しかしそれはオリヴィエとの共同生活の名残りだったので、彼はむきになって大事にしていた。
 彼女が帰って行こうとするときに、彼は尋ねた。
「あなたは私を嫌《いや》に思ってはいられませんか。」
「なんで?」
「こんなに散らかっていますから。」
 彼女は笑った。
「これからは片付けることにします。」
 彼女が出口へ行って扉《とびら》を開きかけようとしたとき、彼はその前にひざまずいて、彼女の足先に唇《くちびる》をあてた。
「何をなさるんです?」と彼女は言った。「気違いね、かわいい気違いさん! さようなら。」

 彼女は毎週きまった日にやって来ることとなった。もう突飛な真似《まね》をしないということ、もうひざまずいたり足に接吻《せっぷん》したりしないということを、彼に約束さしておいた。いかにもやさしい静安さが彼女から発していて、クリストフは気分の荒立っているときでさえ、それにしみじみと浸された。そして彼は一人でいると、しばしば熱烈な情欲で彼女のことを考えたけれど、二人いっしょになると、いつも仲のよい友だちという調子になった。彼女を不安ならしむるような言葉も身振りも、かつて一つとして彼から
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