戦いとが、冬じゅうつづいた。時とすると夕方、彼は一日の仕事を終えて、日々の総和を顧みながら、それが長い間であったかあるいは短い間であったかみずからわからなかったし、自分がまだ若いのかあるいはごく年老いたのかみずからわからなかった。とは言え、その冬は早く過ぎ去った。
すると、人間の太陽の新たな光が、夢の覆面を貫いて射《さ》してき、またもや春をもたらしてきた。クリストフはグラチアから手紙をもらって、彼女が二人の子供といっしょにパリーへ来る由を知らせられた。長い前から彼女はその計画を立てていた。従姉《いとこ》のコレットからしばしば招かれたのだった。けれども、自分の習慣を破り、呑気《のんき》な平和を見捨て、愛するわが家[#「わが家」に傍点]を去って、よくわかってるあのパリーの喧騒《けんそう》の中にはいるという、それだけの骨折りを彼女は恐れて、一年一年と旅を延ばしたのだった。ところが、その春はある憂愁に襲われ、おそらくあるひそかな失意を感じて――(およそ女の心のうちには、他人には少しもわからないが、また往々彼女自身もそれと自認しないが、いかに多くの暗黙のロマンスが存在してることだろう!)――
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