離れたままでいて、ときどき音楽会で遠くから認め合ったり、少年のときおりの訪問で結ばれたりするきりだった。

 冬は過ぎ去った。グラチアはもうまれにしか手紙をくれなかった。彼女はクリストフにたいして忠実な友情をなおいだいていた。しかしきわめて感傷的でなくて現実に執着する真のイタリー婦人だったから、多くの人に会わずにはいられなかった。それは彼らのことを思うためではないとしても、少なくとも彼らと話をする楽しみを得んがためであった。またときどき眼の記憶を新たにしなければ、心の記憶は消えがちだった。それで彼女の手紙はしだいに短くなり疎遠になった。クリストフが彼女を信じてると同様に、彼女もなおクリストフを信じてはいた。しかしその信頼は熱よりもむしろ光を多く広げるものであった。
 クリストフはその新たな違算を大して苦しみはしなかった。音楽的活動は彼を満たすに十分だった。ある年齢に達すると、強健な芸術家は自分の生活のうちによりも多く自分の芸術のうちに生きる。生活は夢となり、芸術は現実となる。パリーと接触して、クリストフの創作力は眼覚《めざ》めたのだった。この勤勉な都会たるパリーの光景ほど、人に強い刺激
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