してやって、神聖な感情の誇張を非難しようとは思わなかった。その上に、自己の使命にたいする民衆の誇大な信念は人類のためになるものである。けれども、エマニュエルから遠く離れてる心地を起こさせるすべての理由のうちで、ただ一つ我慢しがたいものがあった。それはエマニュエルの声だった。その声は時とすると極度に鋭い音調に高まっていった。クリストフの耳にはそれがひどくさわった。彼は渋面をせずにはいられなかった。そしてエマニュエルにそれを見つけられないようにつとめた。彼は楽器の音を聞かずに音楽だけを聞こうと骨折った。この不具の詩人が、他の勝利の先駆として精神の勝利を描き出し、また、群集を奮起さして、歓喜せる彼らを、遠い空間のほうへ、あるいは来たるべき復讐《ふくしゅう》のほうへ、ベツレヘムの星のように引き連れてゆく、空中の征服を、「飛行の神」を、描き出すとき、いかに勇壮の美が彼から輝き出したことだろう! けれども、そういう精力の幻影がもってる光輝を見るにつけてもクリストフは、その危険を感ぜずにはいられなかった。その襲撃とその新しいマルセイエーズ[#「マルセイエーズ」に傍点]のしだいに高まる叫び声とが、どこ
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