た。――もとより彼女は、伯父を信仰に帰依させようとする陰謀の仲間だった。家の中で暗黒の精神を光明の精神が少しずつでも征服すると、それをたいへんうれしがっていた。一度ならず彼女は、老人の上衣の裏の内側に聖メダルを縫いつけたり、ポケットに数珠の一粒を忍ばしたりした。伯父のほうでは、姪《めい》の子を喜ばせるために、それに気づかないふうを装っていた。――二人の信心家が僧侶の敵たる紙屋をそういうふうに拘束してることは、古靴屋の憤慨の種ともなり喜悦の種ともなった。彼は主人を尻《しり》に敷いてる女を見ると粗野な冗談をやたらに連発するのだった。そして女の言いなり次第になってる友をひやかしていた。実を言えば、彼にはこの友をいじめるだけの資格がなかった。というのは、彼自身も二十年間、癇癪《かんしゃく》もちの倹約な女房に苦しんできたのだった。いつも老人の飲んだくれだとされて、その前に出ると頭が上がらなかった。しかし彼はその女房の噂《うわさ》をしないように用心していた。紙屋のほうは少しきまり悪がって、クロポトキン流の寛容をねちねちした舌で宣明しながら、力ない自己弁護をしていた。
レーネットとエマニュエルとは
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