る大なる精神生活。その二つを維持するのはいつも容易なことではなかった。幸いなことにアルノーもまた、書物のうちに、芸術作品のうちに、半ば空想的な生活をしていた。その永遠の火によって、揺らめいてる魂の炎が支持されていた。しかしこの数年間彼は、職務上のいろんな煩わしい些事《さじ》や、同僚または生徒との間の不正や不公平や不愉快などから、しだいに多く心を奪われていった。彼は気むずかしくなった。政治を談じ始め、政府やユダヤ人をののしり始めた。自分が大学教授の地位を得られなくなったのは、ドレフュースのせいだとした。彼のそういう苦々《にがにが》しい気分は、アルノー夫人へも多少伝わった。彼女は四十歳近くなっていた。生活力が乱されて平衡を求める年齢だった。彼女の思想のうちには大なる亀裂《きれつ》が生じた。しばらくの間、彼らは二人とも生存の理由をすべて失った。なぜなら彼らは、その蜘蛛《くも》の巣を張るべき場所をもはやもたなかったのだから。いかに弱い現実の支持であろうとも、その一つが夢想には必要である。ところが彼らにはなんらの支持もなかった。彼らはもうたがいにささえ合うことができなかった。彼は彼女を助けないで
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