日の午後に見たアカシアの木立に思いをはせた。そして考えた。
「彼処《あそこ》にもまた、河が蚕食している……。」
 古い町は、生者も死者もすべてを包み込んで、暗闇《くらやみ》のなかに眠っていたが、それのほうが彼にはまだなつかしかった。なぜなら、この町も脅かされてるような気がしたから……。

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囲壁は敵の手中にあり……。
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 いざ同胞を救い出さんかな! われわれが愛するものはすべて死にねらわれている。過ぎ去る面影を永遠の青銅の上に、急いで刻みつけようではないか。火災がプリアムの宮殿をのみ尽くさないうちに、祖国の宝を炎から取り出そうではないか……。
 クリストフは洪水《こうずい》を逃げる者のように、汽車に乗って立ち去った。けれども、自分の町の難破から鎮守の神々を救い出す人々と同様に、彼は、故郷の土地からかつてほとばしり出た愛の火花と、過去の神聖な魂とを、自分のうちに担《にな》い去っていった。

 ジャックリーヌとオリヴィエとは、しばらくの間親しくしていた。ジャックリーヌは父を亡くしたのだった。その死亡から深く心を動かされた。ほんとうの不幸に面す
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