っこく尋ねた。パリーにたいして好奇心と軽蔑《けいべつ》とを同じくらいにいだいていた。フォリー・ベルジュール座とオペラ座とモンマルトルとサン・クルーとを見たことがあるので、パリー全体を知ってると称していた。彼女の説によれば、パリーの女はみな娼婦《しょうふ》でよからぬ母親で、できるだけ子供を産まないし、子供を産んでもその世話をせず、家に打ち捨てておいて、自分は芝居や遊び場所に出入りしてるのであった。彼女はそれに反対されるのを許さなかった。その晩彼女は、クリストフへピアノで一曲演奏を求めた。彼をみごとな腕前だと賞賛した。けれど心の底では、夫の演奏にも同様に感心してるのだった。
クリストフがうれしかったのは、ミンナの母親ケリッヒ夫人に再会したことだった。彼はまだ彼女にたいしてひそかな愛情をもっていた。なぜなら彼女から親切にされたのだったから。彼女はやはりその温良さを少しも失わないでいた。そしてミンナよりいっそう自然だった。しかし彼女はやはりクリストフにたいして、昔彼をじれさしたあのちょっとしたやさしい皮肉を見せつけた。彼女は以前別れたときと少しも違っていなかった。あのときと同じ事柄を好んでい
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