った、「私はかなり穏和のほうですよ。」
「なるほど、」とクリストフは言った、「僕は君に感謝すべきだ。君は僕の七重奏曲を寄席珈琲店の歌にでも変え得られたはずだから。」
彼は両手に頭をかかえて、途方にくれて、口をつぐんだ。
「僕は自分の魂を売っちゃった。」と彼は繰り返していた。
「御安心なさい。」とヘヒトは皮肉に言った。「私は無茶なことはしませんから。」
「いったいフランス共和国が、こんな取引を許すとは!」とクリストフは言った。「君たちフランス人は、人間は自由だと言っていながら、思想を競売してるのだ。」
「あなたは代価を受け取られたでしょう。」とヘヒトは言った。
「貨幣三十枚、そうだ。」とクリストフは言った。「それを返すよ。」
彼はヘヒトへ三百フランを返そうと思って、ポケットを探った。しかしそれだけの金をもたなかった。ヘヒトはやや蔑《さげす》むように軽く微笑《ほほえ》んだ。その微笑にクリストフは腹をたてた。
「僕は自分の作品がいるのだ。」と彼は言った。「作品を皆買いもどすよ。」
「あなたにはそうする権利はありません。」とヘヒトは言った。「しかし私は人を無理につなぎ止めたくありませんから
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