。
彼女は答えなかった。クリストフも口をつぐんだ。彼は暗い中を手探りで進んでいった。ふとある心配が彼をとらえた。彼は動悸《どうき》しながら立ち止まった。すぐそばにジャックリーヌの軽い息づかいが聞こえた。彼はなお一歩進んで、ふたたび立ち止まった。彼女はすぐそばにいた。彼はそれを知っていた。しかしもう進むことができなかった。数秒の沈黙。と突然、二つの手が彼の手をとらえて、彼を引き寄せた。口と口と合わさった。彼は彼女を抱きしめた。一言もなく、じっとしていた。――二人の口はたがいにもぎ離された。ジャックリーヌは室から出て行った。クリストフはおののきながらあとに従った。彼の足は震えていた。彼はちょっと壁によりかかって、血潮の激動が静まるのを待った。やがて彼は二人のところへ行った。ジャックリーヌはオリヴィエと平気で話していた。二人は彼の数歩先に歩いていた。クリストフは押しつぶされた心地であとから従った。オリヴィエは立ち止まって彼を待った。クリストフも立ち止まった。オリヴィエは彼を親しく呼びかけた。クリストフは返辞をしなかった。オリヴィエは友の気質を知っていたし、ときどき気まぐれな沈黙の中に堅く閉
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