いの……。ほんとに力の無駄《むだ》使いだわ。ムーネのような人がどんな取り扱いを受けたか、みてごらんなさい。生涯《しょうがい》の間何を演じさせられたでしょう? 生き甲斐《がい》のある役と言ったら、オイディプスやポリュエウクトスなどきりだわ。その他はほんとにつまらないものばかり。しかも彼にとっては、偉大な光栄な事柄でたくさんすべきことがあったのを考えてごらんなさい……。フランス以外だって同じことだわ。デューゼのような人がどんな取り扱いを受けたでしょう? どんなことに生涯を費やしたでしょう? ほんとに無駄な役ばかりしたんじゃなくって?」
「君たちのほんとうの役は、」とクリストフは言った、「力強い芸術品を世の中に押しつけることだ。」
「いくら骨折っても駄目なことよ。骨折るだけの価値もないわ。そういう力強い作品も一度舞台にかかると、その偉大な詩を失って、虚偽なものになってしまうのよ。観客の息がそれをしなびさしてしまうのよ。息苦しい都会の臭い巣の中にいる観客は、広い大気や自然や健全な詩というものが、どんなものだかもう知ってやしない。あの人たちに必要なのは、私たちの顔みたいに塗りたてた詩ばかりよ。―
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