いただけによく知ってる社交界の魅惑的なしかし危険な欠点は、彼女をして、夫の心の堅実性を高く評価せしめた。彼女はそういう比較を面白く思い、自分の選択を正当視するために長くそれをつづけた。――あまり長くつづけるうちには、どうして自分が今の選択をしたのかもうわからなくなる瞬間さえあった。仕合わせにもその瞬間は長つづきしなかった。彼女はそれをみずからとがめたので、そのあとではオリヴィエにたいしてこの上もなくやさしかった。がそうすることによって、彼女はまた比較を始めだした。それが習慣となってしまうと、もう面白みは覚えなくなった。そして比較はいっそう辛辣《しんらつ》になった。相反した二つの世界は、たがいに補い合うどころか戦いを始めた。パリーの友人らのうちに自分が現在味わってるいろんな長所を、のみならずまた短所の多少をも、どうしてオリヴィエがもっていないのだろうかと、彼女は考えてみた。彼女はそのことを彼に言いはしなかった。しかしオリヴィエは、自分を用捨なく観察してる妻の眼つきを感じた。彼は不安と心痛とを覚えさせられた。
けれども彼はなお、恋愛から与えられた優越権をジャックリーヌにたいして失ってはい
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