サうであった。彼は文学をやるつもりだった。しかし自説にのみ凝り固まってる兄は、彼をもやはり科学の方面にはいらせたかった。アンドレは悧発《りはつ》であって、科学に――または文学に――同じくらいかなりの天分をもっていた。芸術家たるには十分の自信がなかったけれど、中流者たるにはあまりに多くの自信があった。で彼は初め一時的に――(この一時的という言葉がいかなる事を意味するかは人の知るとおりである)――兄の意志に従った。彼は大してよくない成績で工芸中央学校にはいり、同じくらいの成績で卒業し、それからは本気でしかしなんの興味ももたずに、技師の職についていた。もとよりその間に、わずかの芸術家的気質をもっていたのをも失ってしまった。で彼はもう皮肉をもってしか芸術のことを語らなかった。
「それにまた、人生というものは、やりそこねた職業のために気をもむにも値しないものです。くだらない詩人なんかあってもなくても同じことです……。」と彼は言っていた。――(クリストフはそういう理屈のなかに、オリヴィエ流の悲観思想を見てとった。)
二人の兄弟は愛し合っていた。彼らは同じ気質をもっていた。しかし話が合わなかった。
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