ゥ分からも欺かれてる精神の、頓馬《とんま》さ加減を笑っていた。その感傷性、騒々しい感情表白、たやすい感動、などもまたオリヴィエに、ときとすると厭《いや》な気を起こさしたり、軽い滑稽《こっけい》の念をさえ起こさせることがあった。そのうえ、力にたいするある種の崇拝については、すぐれた拳固《げんこ》道徳、もっとも強きものの権利[#「もっとも強きものの権利」に傍点]にたいするドイツ流の確信については、オリヴィエや彼の民衆は、それを信じ得られないりっぱな理由をもっていた。
 また、クリストフはオリヴィエの皮肉にしばしば立腹するほどいらだたせられて、それに我慢ができなかった。その理屈癖、不断の分析、ある一種の知的不道徳性、などにも我慢ができなかった。この知的不道徳性は、オリヴィエのごとく道徳的純潔を熱望してる者にあっては驚くべき事柄であった。その源は、あらゆる否定を拒む彼の知力、相反する思想を見渡して喜ぶ彼の知力、その知力自身の広さのうちにあった。オリヴィエは事物を、一種歴史的な全景《パノラマ》的な見地からながめていた。すべてを理解したいとの念から、可否の両面を同時に見ていた。人が彼の前でその一方
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