」燥した心の俗人だと思われ、もう生涯《しょうがい》の終わり近く達してる、この老人は、古代インドのバラモン教徒の寂しいやさしい思想を、ひそかにみずから繰り返していた。

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 世界の毒樹は、生の泉の水よりも甘き、二つの果実を作り出しぬ。その一は詩にして、一は友情なり。
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 それ以来彼はクリストフとオリヴィエとに同情を寄せた。二人の気位の高いのを知って、最近出版されたオリヴィエの詩集をひそかにモークから届けてもらった。そして、二人の友になんらの奔走もさせないで、また自分の企てを少しも知らせないようにして、いろいろ骨折ったあげく、その詩集にある学芸院《アカデミー》の賞金を得さしてやった。その賞金は、二人がたいへん困ってるときにおりよく手にはいった。
 クリストフは、その意外の援助が、今まで悪く思いがちだった男から来たのを知ったとき、その男についていろいろ言ったり考えたりしたことを後悔した。そして、人を訪問することの厭《いや》さを無理に押えて、礼を言いに行った。が彼の殊勝な意志は報いられなかった。老ヴェールはクリストフの若々しい感激に接すると、例の
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