っていながら、口に出すのを決しかねてるらしかった。クリストフは珍しげに、透き通った皮膚の下に小さな戦《おのの》きの過ぎるのが見えている、その変わりやすい顔を見守《みまも》った。客間の中にいる周囲の人々、ただ首の延長であり肉体の一片である、どっしりした顔、重々しい物体、それとは本質的に異なってるように思われた。魂が顔の表面に現われていた。各肉片のうちに精神生活がこもっていた。
青年はどうしても口がきけなかった。クリストフは淡白に言いつづけた。
「あなたはここで、こんな人たちの中で、どうしようというんですか。」
彼は人からきらわれるほどのなみはずれた自由さで、声高に口をきいた。青年は困って、人に聞かれはすまいかと、あたりを見回さずにはいられなかった。その素振りがクリストフの気に入らなかった。青年はそれから、答える代わりに、おとなしいへまな微笑を浮かべて尋ねた。
「ではあなたは?」
クリストフは笑い出した。多少重々しい例の笑い方だった。
「そうですね、僕は……。」と彼は快活に言った。
青年は突然決心した。
「僕はほんとにあなたの音楽が好きです!」と喉《のど》がつまった声で言った。
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