クリストフはそういう眼を知っていた。しかし今その眼で輝いてる顔は知らなかった。二十歳から二十五歳くらいの間の青年で、小柄で、やや前かがみになり、虚弱そうで、無髯《むぜん》の悩ましげな顔、栗《くり》色の髪、不揃《ふぞろ》いな繊細な顔だち、一種の不均衡さをもっていた。その不均衡さは顔の表情に、ある不安さをではないが、ある落ち着きなさを与えていて、ちょっと魅力がないでもなかったけれど、眼の平静さと矛盾してるようにも思われた。その青年は扉《とびら》の入口に立っていた。だれからも注意を向けられていなかった。クリストフはまた彼をながめた。ながめるたびごとにその眼に出会った。するとその眼は、かわいげな無器用さでおずおずとそらされた。そのたびごとにクリストフは「見覚えがある」のを感じた。別な顔のうちにその眼をすでに見たことがあるような気がした。
 クリストフはいつもの癖で、自分の感じを隠すことができなかったから、青年の方へ進んでいった。しかし近寄ってゆきながら、なんと言ったらいいか考えた。そして何気なく歩いてるかのように左右をながめては、心をきめかねてぐずぐずしていた。青年はそれにだまされなかった。ク
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